かつとしコラム

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◆「命」

この一週間ほど「予期せぬこと」「命」について思いを巡らせたことがあっただろうか。

土曜日の夕食時に起きた新潟県中越地震。その対応に追われ、総理官邸の危機対応オペレーションルームもフル稼働の最中に飛び込んできたイラクでの邦人拉致事件。

地震の被害は日を追う毎に深刻さを増し、避難所では迫り来る冬に向けて、多くの人々が人生の予定になかったはずの不安な日々を余儀なくされている。
中でも車ごと土砂に埋もれてしまった母子3人の救出活動は、水曜日の午後、我々を祈りで包んだ。余震の中での作業は他の多方面の復興作業の大変さも連想させ、「命を懸けて命を守る」姿に、私も「国と国民を守る」という政治の使命を改めて思った。

2歳の坊やが92時間も一人で土砂の中にいたことを思うと、テレビで見ても新聞で読んでも、また一人になって考える時も涙が出る。「よく生きていてくれた…」と思うと同時に、これからの長い人生に彼が直面するであろう数々の試練を思い、「どうか頑張って生き抜いて欲しい…」と逆に奮い立たされる。

自分探しの旅の末、24歳の若さゆえの余りにも無防備な冒険が生んだ悲劇。そう言ってしまうのはたやすいが、彼にも彼の考えがあったろう。危険を忠告されてはいたものの自分の身に降りかかろうとは想像が及ばなかったかもしれない。イラクで拘束され、「日本に帰りたい…」とつぶやく姿に若さを見た。

繰り返し渡航自粛を説く以外に日本国は今、邦人を救う術を十全に持たないことを分かった上で誤解を恐れずに言うが、一人異郷で最期を迎えてしまった彼はどれだけ怖かったことだろう。 ふるさとと家族をどれだけ思って死んでいったことだろう。彼の命もまた重かった。

子を残して亡くなった母と、子に先立たれ残された母、予期せぬ人生に胸がつぶれる。そして、命を長らえながらもまた予期せぬ日々を暮している被災者の皆様に復興の道筋を一日も早く示す政治の責任を痛感している。

2004年11月2日
議員会館の花屋さんにシクラメンの鉢を見て妙に悲しくて…

 

 



 

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