外務副大臣ニュース

H18.2.16 副大臣会見記録 (15:06〜 於:本省会見室

金田副大臣定例記者会見要旨

◆モハンマディ・イラン外務次官との会談/TICAD平和の定着会議・わが国の支援

(金田副大臣)私から2点お話し致します。ひとつは、本日、モハンマディ・イラン外務次官と会談しました。その件について簡単に説明させて頂きます。モハンマディ・イラン外務次官と二国間関係、核問題について協議をしました。外務次官は、京都で行われた文明間対話に関するセミナーに参加するために訪日しました。私がお会いしたのですが、二国間関係では、わが国はイランとの関係を友好国として重視しています。一方、今月末にはモッタキ外務大臣が来日予定です。また、私も1月にロンドンでモッタキ外務大臣と会談をし、核問題等について話をした経緯もありますので、緊密な政治対話が二国間で行われているということで私の方から述べました。核問題については、エネルギー分野で影響力のあるイランが国際社会の中で孤立しないことを望んでいる、2月4日のIAEA特別理事会決議以降のイランの動きを非常に懸念しているということを伝えました。更に、イランに対し、国際社会との信頼関係構築の重要性を述べながら、イランにウラン濃縮関連活動を再停止してもらいたい、そして累次のIAEA理事会決議の要求事項に誠実に応えてもらいたいといいますか、履行するように求めた次第です。これに対し、限られた時間ではありましたが、モハンマディ・イラン外務次官からは、イランの核開発については、原子力の平和利用というイランがNPT(核不拡散条約)上有している権利を国際社会が認めていないのではないかといったような、イランの立場を述べる発言がありました。

 二つ目のTICAD平和定着会議について、わが国の支援について話をさせて頂きます。アフリカでは、スーダン、大湖地域といいまして、ビクトリア湖等々のコンゴやルワンダ地域の大湖地域ですね、それから西アフリカ、シエラレオネ、リベリアといった国々の地域ですが、持続的な平和の実現に向けた動きが進展しています。そういうことで、国際的にアフリカへの関心が高まる中で、わが国はアフリカの平和の定着に対する支援を拡充する方針です。具体的には、平和の定着が特に課題となっている、今申し上げた地域を中心に、元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰、あるいは選挙支援、それからコミュニティの開発といったような支援を積極的に実施していく考えです。その一環として、3月末までに、これらの支援を取りまとめ、6000万ドルを目途とする支援を実施することとしました。今日2月16日及び17日の両日、エチオピアのアジスアベバにおいて、平和の定着を効果的に実施するための戦略について議論するということで、TICAD(アフリカ開発会議)の平和の定着会議が開催されています。塩崎外務副大臣が出席し、この会議を主催しています。6000万ドルを目途とする支援、これはTICADの平和定着会議においても発表がある予定です。私からは以上です。

◆日朝関係

(問)日朝関係ですが、今日、自民党の「北朝鮮による拉致問題対策本部」で「北朝鮮人権法案」の骨子が了承されたりして制裁論が強まっています。そうした中、外務省として、「対話と圧力」ということでやってきましたが、今後その方針に変化はあるのかどうか。

(金田副大臣)自民党の中で、「北朝鮮人権法案」について議論していることにつきましては動きを承知しています。私共は政府の立場ですから、それが議員立法として今後検討が進められるのであれば、それはそういう然るべき時点で私共政府としてのコメントも申し上げることになろうかと思います。これにつきまして、今回の日朝包括並行協議の結果を踏まえて、こういう党内の動きも出ているのだと受けとめています。「対話と圧力」という基本方針の下で、北朝鮮側から誠意のある対応を引き出すためにどのような「圧力」をかける措置があるのか。あるいは最も効果的なのだろうかという検討も含め、いずれにしましても政府としても「対話と圧力」のうちの特に「圧力」という点について検討をしていくという考えは必要かと私は思います。ただ国民的関心の高いこのテーマにつきまして、党として行われている議論につきましては、私個人としては当然そういう議論になるだろうと思いますが、政府としては現時点ではコメントをする立場にないと思います。

◆日中関係

(問)最近、アジア不拡散協議があったり、BWC(生物兵器禁止条約)の東京セミナーがあったりと不拡散や生物兵器の会合が日本で開かれているわけですが、それに中国からは参加されていないということですが、こういった協議にはアジアという観点からも中国が参加をしてもおかしくないと思うのですが、それについて中国が出てこなかったということについて、副大臣はどのようにお考えでしょうか。

(金田副大臣)アジア不拡散協議というのは月曜日に行われたアジアの国際会議だと思います。それから生物兵器はその翌日から2日間行われた会議だと思います。その2つの会議において、「アジア核不拡散協議」の方は、核兵器などの大量破壊兵器を拡散を防ぐためにやっている会議でしたし、確か今年が3回目だと思いますが、確かに中国側が出席していない事実は私としては遺憾だと思います。アジア地域全体が集まり、共通のアジア地域の安全保障に対する責任というものも考える会議ですから、中国は非常に大国でありますし、そういうことを考えますと一緒になって会議に出席をして、ASEANの国々あるいはアジアのその他の国々と一緒になって、大量破壊兵器の拡散を防ぐあるいは生物化学兵器に対してしっかりと対応を一緒になって考えていくという姿勢が大切なのだと思います。これについては私も、後から会議に出席しなかったと言っても何ですが、会議をする前にちゃんと要請をしたかどうかは私も確認はしています。要請はしていたようですが、今後様々な同種の会議があると思いますので、それに対しましては関係の国は全て同じようなスタンスでしっかりと一緒になってそういう大事な課題を解決していくというスタンスを各国に求めるということを、欠席と言われて「はいそうですか」というわけにはいきませんから、しっかりと対応していく必要があるのではないかと私共もそう思っている次第であります。

(問)中国から欠席した理由について説明はありましたか。あるいは、副大臣はどうご覧になっていますか。

(金田副大臣)欠席したというのは事実として聞いています。いろいろな事情はあったように聞いていますが、ただ事前にかなりこちらからも出席の依頼をしていたようですから、よほどの事情があったのか、その辺はまだ正式には確認を要すると思います。

(問)靖国神社への総理の参拝など、一連の事を要求しているように感じられますでしょうか。

金田副大臣)今回の会議のテーマはASEAN10カ国+3、米国といった国々の大事な大量破壊兵器の拡散を防ぐという会議ですから、これはよほどの事情がない限り、皆が出席してしっかりと対応していくべきものだと思っています。ちょっとその詳細については今の段階では承知していません。

◆国連次期事務総長選

(問)国連の次期事務総長の選挙が12月にあるわけですが、韓国の潘基文さんが正式に立候補されていますが、これに関して日本政府、外務省としての考え方、あるいはスタンスは。

金田副大臣)潘基文(パン・ギムン)外交通商部長官が出馬を表明したという報道も、あるいは正式に決定したということも承知はしています。次期事務総長については、わが国としては今後も然るべく検討していく課題だとは思いますが、今まで次期事務総長についてはわが国としてもアジアからという考え方は述べてきているし言ったはずだと思います。また、具体的には、候補者の能力とか経験とか、あるいは国連改革の前進といった、そういう観点から総合的に判断していくべきものだと考えてはいます。私も、この前ロンドンにいたときに潘基文長官にお会いしたのですが、その時には国連事務総長に出馬するからよろしくとかそういう話は何もありませんでしたから、私個人としてはその位のコメントとしておきます。

 

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